ジョージアの洞窟都市
洞窟都市は、ジョージアの歴史を語るうえで欠かせない存在です。国内には三つの岩窟建築群があります。ウプリスツィヘ、ヴァルジア、そしてダヴィド・ガレジャ。これらの古代集落を訪れることで、その歴史的な重みと、石を刻み続けた人々の卓越した技術を肌で感じることができます。
洞窟住居には実用的なメリットもありました。内部の温度が一定に保たれ、厳しい気候にも対応できたことが、この地での生活を可能にしました。さらに、洞窟は宗教的・文化的な場としても機能し、人々の祈りや集いの場として地域の社会の絆を深めていたのです。

ウプリスツィヘ ジョージア最古の洞窟都市
ゴリ市内から東へ約10キロ、ムトクヴァリ川を見下ろす岩山の上に広がるのが、ウプリスツィヘです。紀元前6〜4世紀にさかのぼるこの遺跡は、ジョージアで最も古い岩窟都市のひとつとして知られています。
岩をそのまま刻み出した住居群は圧巻で、往時の人々の暮らしを生き生きと伝えています。迷路のように入り組んだ部屋や通路を自由に歩き回れるのも、この遺跡の大きな魅力です。
遺跡の中には円形劇場もあります。かつては集会や公演が行われていたこの場所の天井には、ヘレニズム文化の影響を示す「カフェソン天井」が残っており、古代ジョージアと地中海世界のつながりを感じさせます。
ウプリスツィヘには薬草を扱っていたとされる古代の薬局跡もあり、当時の医療知識の高さがうかがえます。また、独自の配管システムを使って水を確保していた痕跡も発見されており、その生活技術の洗練さに驚かされます。
岩だらけの地形ではブドウ畑を作ることはできませんでしたが、それでも7つのワイン醸造所と貯蔵庫が発見されています。ジョージアの8000年以上にわたるワインの歴史を物語る証拠のひとつとも言えるでしょう。
中世には人口2万人を擁する繁栄した都市だったウプリスツィヘ。約700の洞窟が点在する広大なエリアに、かつて多くの人々が暮らしていました。
さらに、ムトクヴァリ川の河岸から伸びる秘密のトンネルも見どころのひとつ。岩を掘って作られた円形断面のこのトンネルは、下側の入口が巧みに隠されており、道を歩く人の目に触れないよう工夫されています。

旅のヒント
トビリシからウプリスツィヘへは約78キロ、車で約1〜1.5時間。朝早めに出発すると渋滞を避けられます。足場が悪い石畳が多いため、歩きやすい靴が必須。日差しが強い季節は帽子も忘れずに。見学の目安は1.5〜2時間。入場料は15ラリです。

帰りに立ち寄りたい場所
見学後はゴリの街でジョージア料理を楽しみましょう。この地方ならではのハビズギナ(ジャガイモ入りハチャプリ)やゴルリ・カツレット(ジョージアの一番人気ハンバーグ)がおすすめです。
洞窟都市で巡るジョージア

ダヴィド・ガレジャ 砂漠の修道院群
カヘティ州サガレジョ郡に位置するダヴィド・ガレジャは、今も現役の修道院として機能する岩窟建築群です。6世紀初頭にアッシリア修道士ダヴィドによって創建され、以来長きにわたり、精神的・文化的な学びの中心地として栄えてきました。
修道院へ向かう道中、独特の気候と土壌の鉱物化によって生まれた湖がいくつも現れます。赤みがかった大地はヘマタイト、黄色い大地はリモナイトによるもので、この地の虹色の山とも呼ばれる鮮やかな色彩を生み出しています。これらの鉱物はダヴィド・ガレジャの中世絵画にも使われていました。
この一帯は野鳥の楽園でもあります。シロハヤブサ、ガチョウワシ、エジプトハゲワシなど、多様な鳥類を観察できます。また、乾燥した環境に適応したユニークな植物群も見られ、植物好きにも見逃せないスポットです。
ダヴィドが最初に建てた「ラヴラ」修道院は最もアクセスがよく、岩を刻んだ教会や僧房、礼拝堂が見学できます。地下に降りると、聖ダヴィド自身が暮らしていたとされる小さな部屋も残っています。
9世紀以降、ガレジャの修道院群はビザンツ文化の影響を受けながら、キリスト教の信仰、教育、芸術・文化の発展に大きな役割を果たしました。神学書の筆写・保存の場としても機能し、多くの聖人伝が書き記されました。
なお、ダヴィド・ガレジャはアゼルバイジャンとの国境に位置しており、4つの修道院がアゼルバイジャン領内にあるため、現在は立ち入ることができません。

旅のヒント
トビリシからは車で約1.5時間。現役の修道院のため、訪問時は控えめな服装を心がけましょう。女性の方はスカーフやマフラーを用意すれば安心です。日焼け止めと水の持参も必須です。入場料は10ラリ。草地では爬虫類が見られることもあるため、足元には注意しましょう。

帰りに立ち寄りたい場所
帰り道はワインの産地として名高いカヘティ地方へ。クヴァレリやテラヴィでは、ジョージアワインの試飲や伝統料理のムツヴァディ(バーベキュー)、チャカプリ(牛肉の煮込み)などをお楽しみいただけます。
洞窟都市で巡るジョージア

ヴァルジア 崖に刻まれた洞窟修道院
サムツヘ=ジャヴァヘティ地方に位置するヴァルジアは、ジョージア最大規模の岩窟都市です。12世紀、タマル女王の時代に建てられたこの場所は、遠くからでもひと目でわかるほど壮大です。
ヴァルジアはジョージアの黄金時代12世紀の繁栄を象徴する場所です。かつては約5万人が暮らし、3,000以上の洞窟があったとされています。現在も残る約550の洞窟には、居室、食堂、食料庫、ワイン貯蔵庫、馬小屋、薬局、図書館など、生活に必要なあらゆる設備が揃っていました。
もともと分厚い岩の層に覆われていたため外からは見えなかったヴァルジアも、大地震によってその姿が露わになり、「秘密の都市」としての役割を失いました。複雑に張り巡らされた地下トンネルは現在も探索でき、隠された部屋や通路を発見するスリルを楽しめます。
ぜひ見ておきたいのが、複合施設の中心に位置する聖母就眠大聖堂。小さな教会ながら17点の壁画が残されており、歴史と芸術の両方を堪能できます。現役の修道院でもあるため、訪問の際は礼拝堂に入る際のマナー(男性は肌の露出を控え、女性はスカートや腰布を着用し、頭をスカーフで覆う必要があります)を守りましょう。

旅のヒント
トビリシからは車で約4〜5時間。交通手段が限られているため、日帰りツアーに参加するのがおすすめです。現地では歩く距離があるため、歩きやすい靴と水、軽食を持参しましょう。見学時間の目安は1.5〜2時間。入場料は15ラリです。

帰りに立ち寄りたい場所
ヴァルジアから60キロほどのアハルツィヘの街で、サムツヘ地方の郷土料理を味わいましょう。揚げマス、テニリチーズ(手で裂いて作る伝統チーズ)、アポフティ(干し肉)などが楽しめます。
Expert adviseDiscover more through our tours
County of Wonders
Georgia is a country of endless discoveries. There are many reasons why traveling to this small country is genuinely worthwhile: untouched nature and wildlife, ancient cities, monasteries, centuries-old towers.